アスベストの事前調査とは?解体前の義務と費用・期間【広島】
家の解体の見積もりを取ると、「アスベスト調査」という項目が入っていることがあります。「うちの家にもアスベストがあるのか」「調査は省けないのか」と気になる方も多いのではないでしょうか。
先にお伝えすると、家を解体する前のアスベストの事前調査は、建物の広さや築年数にかかわらず、法律で義務付けられています。調査の費用は解体工事の見積もりに含まれるのが一般的で、結果が出るまでは約1週間です。
この記事では、広島で解体工事を行う裕美工業が、アスベストの事前調査の義務や費用、期間と、アスベストが見つかった場合に解体費用や工期がどう変わるかを、解体を頼む方の目線で解説します。
アスベストの事前調査とは
解体の前に、建材にアスベストが含まれていないかを調べる
アスベストの事前調査とは、建物を解体する前に、屋根や外壁、天井、床などの建材にアスベスト(石綿)が含まれていないかを調べることです。
調査では、まず設計図書などの書類を確認し、次に現地で建材を目で見て確かめます。それでも含まれているかどうか分からない建材は、一部を採取して分析機関で分析します。
なぜ調べる必要があるのか
アスベストは、細い繊維を吸い込むと、長い年月を経て肺がんや中皮腫などの病気を引き起こすおそれがある物質です。かつては断熱材や屋根材、外壁材など多くの建材に使われていましたが、2006年9月に製造・使用が全面的に禁止されました。
それ以前に建てられた家には、アスベストを含む建材が使われている可能性があります。含まれていることを知らずに重機で壊すと、繊維が周りに飛び散り、作業員だけでなく近所の方の健康にも影響するおそれがあります。そのため、解体の前に調べて、含まれていれば飛び散らない方法で取り除くことが決められています。
アスベスト調査の義務化はいつから?
解体前の事前調査そのものは以前から義務でしたが、ここ数年でルールが段階的に厳しくなりました(環境省の案内)。
| 時期 | 変わったこと |
|---|---|
| 2006年9月 | アスベストを含む製品の製造・使用が全面的に禁止 |
| 2021年4月 | 事前調査の方法が細かく決められ、調査結果の記録の保存や、発注者(施主)への書面での説明が義務に |
| 2022年4月 | 一定規模以上の工事で、事前調査の結果を国や自治体へ報告することが義務に |
| 2023年10月 | 建物の事前調査は、資格を持つ人が行うことが義務に |
「アスベスト調査の義務化」という言葉は、主に2022年4月の報告の義務化と、2023年10月の有資格者による調査の義務化を指して使われています。
事前調査の結果の報告(延床80㎡以上の解体など)
建物の解体工事で、解体する部分の床面積の合計が80㎡以上の場合は、事前調査の結果を、県や市と労働基準監督署へ報告する必要があります。リフォームなどの改修工事では、請負代金が100万円(税込)以上の場合が報告の対象です。個人の住宅の解体も対象になります。
報告は、工事を請け負う解体業者が、国の電子システムを使って行います。施主の方が手続きをする必要はありません。
アスベストの事前調査が「不要」「対象外」になるケースは?
「うちの家は調査しなくてもいいのでは」と思われる方もいますが、家を解体する場合、事前調査が不要になることは基本的にありません。調査が不要になるのは、釘を打つ、電球を取り替えるといった、建材をほとんど傷つけない軽い作業に限られます。建物を取り壊す解体工事は、規模や築年数にかかわらず調査が必要です。
報告が不要でも、調査は必要
よくある誤解が、「報告の対象外」と「調査の対象外」の取り違えです。延床80㎡未満の小さな家や、物置・車庫の解体は、結果の報告は不要ですが、調査そのものは必要です。
2006年9月以降に建てた家は、着工日の確認で済む
2006年9月1日以降に新築工事を始めた建物は、アスベストを含む建材が使われていないと考えられるため、設計図書などの書類で着工日を確認する方法で調査を終えられます。この場合、建材を採取して分析する必要はありません。
ただし、この場合も「書類で着工日を確認する」という調査は行い、延床80㎡以上の解体なら結果の報告も必要です。書類が残っていない場合は、通常どおり現地での調査が必要になります。
事前調査は誰が行う?必要な資格
2023年10月以降、建物の事前調査は「建築物石綿含有建材調査者」などの資格を持つ人が行うことになりました。国が定めた講習を受け、修了試験に合格した人が持つ資格で、次の3つの区分があります。
| 資格 | 調査できる建物 |
|---|---|
| 特定建築物石綿含有建材調査者 | すべての建物 |
| 一般建築物石綿含有建材調査者 | すべての建物 |
| 一戸建て等石綿含有建材調査者 | 一戸建て住宅と、共同住宅の住戸の内部 |
採取した建材の分析は、分析の技能を持つ人が行います。
裕美工業には、一般建築物石綿含有建材調査者の資格を持つ社員が在籍しています。一般建築物石綿含有建材調査者は、一戸建て住宅に限らず、すべての建物の事前調査を行える資格です。現地での調査は自社で行い、建材の分析は外部の分析機関に依頼しています。調査の担当者が、なぜ調査が必要なのかを施主の方に直接ご説明しています。
また、アスベストを含む建材を取り除く作業を指揮する「石綿作業主任者」の資格を持つ社員も在籍しています。
アスベスト調査の流れと期間
裕美工業が解体工事をお引き受けする場合、アスベストの事前調査は次の流れで進めます。
- 見積もり:調査の費用を含めた見積もりをお出しします
- 解体の決定・ご契約:調査では建材の一部を採取するため、建物に傷がつきます。そのため、調査は解体することが決まってから行います
- 書類の確認と現地での調査:調査者が設計図書などを確認し、現地で建材を目で見て確かめます。含まれているか分からない建材は、検体として一部を採取します
- 分析:採取した検体を外部の分析機関で分析します。結果が出るまでは約1週間です
- 結果のご説明:調査の結果を、書面で施主の方にご説明します。アスベストが見つかった場合は、除去の方法や費用もあわせてご説明します
- 報告と現場への掲示:必要な場合は国や自治体へ結果を報告し、工事中は調査の結果を現場に掲示します

調査の結果は、解体工事の元請業者から発注者(施主)へ書面で説明することが法律で決められています。説明を受けた書面は、工事が終わるまで保管しておくと安心です。
アスベスト調査の費用と、誰が払うか
費用の相場は1検体あたり3〜5万円程度
アスベスト調査の費用は、分析する検体の数によって変わります。一般的な相場は1検体あたり3〜5万円程度です。
検体は、アスベストが含まれているか分からない建材の種類ごとに採取します。屋根材、外壁材、天井材など、使われている建材の種類が多い家ほど検体の数が増え、調査の総額も上がります。反対に、書類で2006年9月以降の着工と確認できる家は、分析の費用はかかりません。
調査費用は誰が払う?
家の解体でのアスベスト調査の費用は、解体工事の見積もりに含まれ、工事を依頼する施主の方が負担するのが一般的です。法律でも、工事の発注者は、業者が行う調査の費用を適正に負担して調査に協力することが求められています。
裕美工業でも、調査の費用はアスベストがあってもなくてもかかるものなので、最初の見積もりに含めています。
アスベストが見つかったら、解体費用と工期はどう変わる?
外壁などの建材に含まれていた場合
一般的な木造住宅で多いのは、外壁材や屋根材などの板状の建材にアスベストが含まれているケースです。この場合、アスベストを含む建材は、割ったり砕いたりせず、できるだけ元の形のまま手作業で取り外すのが原則です。やむを得ず割る場合は、水などで湿らせて繊維が飛び散らないようにします。ほかの廃材とも分けて処分するため、そのぶん費用と日数がかかります。
外壁の量によって変わりますが、外壁にアスベストが含まれていた場合、解体費用は坪あたり1万5,000〜2万円(税抜)ほど増えるのが目安です。裕美工業が手がけた広島市中区の約30坪の住宅では、外壁にアスベストが含まれていて、解体費用が45万円(税抜)増え、工期は1週間延びました。
工期も、アスベストを含む建材を分けて解体する作業が加わるため長くなります。住宅の規模によって変わりますが、一般的な住宅では1週間ほどです。

吹付けアスベストや断熱材が見つかった場合
天井や梁に吹き付けられたアスベストや、アスベストを含む断熱材・保温材が見つかった場合は、作業場所をシートで囲って隔離するなど、より厳重な対策が必要になります。費用も工期も、外壁材の場合より大きく増えます。
また、この場合は作業を始める14日前までに、発注者(施主)が都道府県など(広島市内の場合は広島市)へ届け出ることが法律で決められています。届出に必要な書類は、裕美工業でご用意します。
「あり」「なし」2パターンの見積もりで予算を立てる
アスベストがあるかどうかは、調査の結果が出るまで分かりません。予算を立てにくい場合、裕美工業では「アスベストがあった場合」と「なかった場合」の2パターンの見積もりをお出しすることもできます。調査の結果、アスベストがあれば「あり」の金額、なければ「なし」の金額で工事を進めます。
解体費用の目安や、見積もりから費用が増えるケースは、「家の解体費用の相場は?坪単価の目安と追加費用が出るケース【広島】」で詳しく紹介しています。
「調査を省けないか」と聞かれたら
「見つかると費用がかかるなら、調査をしないで壊せないか」とご相談いただくことがあります。裕美工業では、このご依頼はお断りしています。
事前調査は法律で必ず行うことが決められており、調査をしないまま工事をすると法令違反になります。結果の報告をしなかったり、うその報告をしたりした場合には、30万円以下の罰金が科されることもあります。解体業者にとっては、工事を行うための許可にも関わる問題です。何より、アスベストが含まれていた場合に、作業員や近所の方の健康を守れません。
見積もりを比べるときは、アスベスト調査の費用が含まれているかを確認してみてください。調査の項目がない、調査をしなくてもよいと言われる、といった場合は注意が必要です。
アスベストの除去に使える補助金(広島市)
広島市には、アスベストの除去に使える「広島市民間建築物吹付けアスベスト除去等補助制度」があります。ただし、対象は吹付けアスベストと、アスベストを含む吹付けロックウールだけです。一般的な木造住宅の外壁材や屋根材などの板状の建材や、外壁の吹付け仕上げの塗材は対象になりません。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 対象 | 吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール |
| 分析調査 | 費用の全額(上限25万円) |
| 除去工事など | 費用の2分の1(上限100万円) |
| 申込み | 令和8年度は5月15日〜29日(予定棟数に達しなければ、6月1日から先着順)。市役所建築指導課との事前協議が必要で、工事の契約前に申し込む |
家の解体で見つかるアスベストの多くは外壁材などの板状の建材なので、この補助を使えるケースは限られます。補助を使う場合は受付の時期に合わせて工事の日程を組む必要があるため、早めにご相談ください。
なお、広島市には、老朽化した空き家の解体費用を補助する別の制度もあります。
広島市の解体補助金の対象や申請の流れは、「広島市の空き家解体補助金、使える人・使えない人【2026年度】」で詳しく紹介しています。
まとめ
この記事でお伝えしたポイントは、次の5点です。
- 家を解体する前のアスベストの事前調査は、広さや築年数にかかわらず法律で義務付けられている。延床80㎡未満で報告が不要でも、調査は必要
- 2023年10月からは、建築物石綿含有建材調査者などの資格を持つ人が調査を行う
- 調査の費用は1検体あたり3〜5万円程度が相場。解体の見積もりに含まれ、施主が負担するのが一般的
- 調査は解体が決まってから行い、結果が出るまでは約1週間
- 外壁にアスベストが含まれていた場合、解体費用は坪1.5〜2万円(税抜)ほど増え、工期も1週間ほど延びるのが目安
アスベストの有無は、調査をしてみるまで分かりません。裕美工業では、調査の費用を含めた見積もりに加えて、「あり」「なし」2パターンの見積もりもお出しできます。解体を考え始めたら、まずは見積もりでおおよその金額を確かめてみてください。
裕美工業の解体工事
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